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「腸内環境」とは?

こんにちは、onakademy編集部です!
今日のテーマは「腸内環境」。

基礎ですね。
そのくらい知ってますよ!という方もいらっしゃるかもしれません。

ですが、ここからすべてのストーリーが始まりますので、この機会に改めて語らせてください!

腸内環境は文字通り「腸内の環境」を指しますが、その「環境」とは何を指すのでしょうか。
順に紐解いていきましょう。


まずは腸内細菌のお話から


腸内に腸内細菌がいることや、腸内細菌が健康に関係するものなんだ!ということは、ここ十数年の間で急速に知られるようになってきたと思います。

実は私たち人間の腸内は、あらゆる地球環境の中で最も高密度に菌が存在している場所のひとつ。

腸内にはなんと、約40兆個にもおよぶ、腸内細菌と呼ばれる微生物たちが棲んでいます[1]。

腸内細菌たちが腸管の中にびっしりと、まるでお花畑(フローラ)のように生息している様子から、腸内細菌の群集のことを「腸内フローラ別名:腸内細菌叢)」と呼びます。

腸内細菌の種類は約1000種類とも言われ[1]、彼らは腸内で協調したり、競合したりしながら、人それぞれの腸内で独自のコミュニティを構築しています。

自分とは異なる生命が自分の中にそんなにも生息しているだなんて、想像がつくでしょうか?

人体には、腸内細菌の他にも常在菌が棲みついている場所があります。例えば口腔内であれば約700種類、およそ1.1兆個[1][2]。皮膚であれば、約1000種類、およそ1800億個と言われています[1][3]。

これらの場所と比べても、腸内にいる腸内細菌の数は圧倒的に多いことがわかります。

腸内細菌は何をしているのか?


腸内細菌は主に大腸内に棲んでいます。棲みつけるということは、大腸内は彼らにとって栄養がとても豊富であることを意味します。

人間が食事をすると、その食べ物は食道を通って胃で消化され、小腸の中で栄養素が吸収されていきます。

胃や小腸で消化吸収されなかった食物繊維やオリゴ糖などが大腸まで届きますが、そこに、無数の腸内細菌たちが待ち構えているというわけです。

つまり、腸内細菌のエサは、人間の未消化物である食物繊維やオリゴ糖です。

腸内細菌は、それらの未消化物を餌として食べ、その結果、様々な代謝物質をつくりだします

生体内で物質を変化させる様々な化学反応のことを「代謝」といいますが、代謝物質とは、その代謝の結果つくられた物質です。例えば、近年、万能な健康機能を持つと期待されている短鎖脂肪酸をはじめ、胆汁酸、アミノ酸、ポリアミン、ビタミンなどが例としてあげられます。

腸内細菌の大半は、実は存在するだけでは宿主であるヒトに作用せず、これらの腸内代謝物質を介して作用します。

実は、代謝物質は腸内細菌の代謝の結果副次的に産生される、いわば排泄物であるため、腸内細菌にとっては不要なものですが、腸から吸収されることで宿主であるヒトには様々な影響を与えます。

代謝物質には、身体に良い影響を与えるものもあれば、悪い影響を与えるものもありますが、どんな代謝物質が作られるかは、私たちが日々摂取する食事と個々人の腸内フローラの組み合わせが大いに影響しています。

腸内環境=腸内フローラ+代謝物質


腸内細菌が何をしているのか、イメージしていただけたでしょうか。

腸内の環境とはつまり、腸内フローラと腸内細菌が作り出した代謝物質で構成される環境のことを指します

腸内でつくられた代謝物質の一部は、腸管の壁から吸収されて血液中に移行し、全身を巡ります。

人間の内臓は全て血管でつながっているため、腸から吸収された代謝物質は、良いものも悪いものも全身の各臓器に運ばれます

その結果腸内フローラは、消化機能や腸そのものの状態に関与しているのみならず、免疫システムのコントロールや脳機能の発達、肥満や糖尿病、動脈硬化、がん、アレルギーなど、様々な疾患にも関与していることが示されています。

このように、腸内フローラ自体が、体内の調節機構の役割をもつ臓器のように見えることから、私たちは腸内フローラを人体の中の“もう一つの臓器”と捉えています。


代謝物質の一部は、腸管の壁から吸収されて血液中に移行し、全身を巡ります


腸内細菌だけでなく、彼らの活動の末に生まれる代謝物質までを含めて初めて「腸内環境」
というものが形成されており、腸内の環境のみならず、全身の健康状態を左右する大きな要因なのです。

どんな腸内細菌が、どのくらいの割合で生息し
どんな代謝物質を、どのくらいの量つくっているのか?

それらを知ることが、腸内環境を知るということなのです。

腸内環境の無限のポテンシャル

これまで述べたように、それぞれの腸内細菌は腸の中で生きて活動しているため、その生態系が崩れると、結果として宿主である人間側の健康を損なったり、病気のリスクが上がってしまう可能性があることが、近年の最先端技術によって続々と科学的に明らかになってきています。

私たち人間は人間の細胞だけでできているわけではなく、人間とは全く異なる生き物と共存している、スーパーオーガニズム(超生命体)と言われています。

私たちの体を形づくっている細胞の数、ご存知ですか?

答えは、およそ37兆個。

腸内細菌の数、覚えてますか?およそ40兆個です。

・・・そうなんです。実は腸内細菌の数の方が細胞の数よりも多いんです。

そして、地球上の歴史で考えたら、人間は微生物よりも後発の生き物であり、微生物のほうが圧倒的に先住⺠です。

そうなると、人間と腸内細菌はどちらが主役なのでしょうか・・?

ちなみに、動物試験では、摂食行動が腸内細菌によって制御されるという報告もあるくらいですので、人間の行動が腸内細菌によってコントロールされている!?という話もありえないとは言い切れないかもしれません[4]。

自分と腸内フローラとの関係を深く知ってこそ「自分のすべてを知る」ということにも近づき、彼らとうまく共存することで、自分自身を望む状態にコントロールすることにも繋がるかもしれません。

そのために、まずは彼らが喜ぶエサを送り込んで自分の味方にし、あなた自身の腸内環境の可能性を最大化していきましょう。

最後に

今後も、腸内環境の重要性や腸内環境の可能性を最大化していくヒントなど、皆さんに有益な情報をできるだけわかり易く配信していきます。

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参考文献


[1] Sender, R. et al. 2016, PLoS Biol. 14(8), e1002533
[2] Escapa, IF. et al. 2018, mSystems, 3(6), 200187-18
[3] Human Microbiome Project Consortium. 2012. Nature. 486:207-214
[4] Trevelline and Kohl. 2022. Proc Natl Acad Sci USA. 119(17):e2117537119


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