来年こそ正月太りをしない!クリスマス後からでも間に合う!?腸内環境で太りにくい体質に
こんにちは!onakademy編集部です!
クリスマスや年末年始を控え、みなさんいかがお過ごしでしょうか。
今年の年末年始は9連休ということもあって、少し遠出をしたり長く帰省したりなどの予定を立てられている方も多いかもしれませんね。
そんな楽しいシーズンと隣り合わせでやってくる話題の1つが「正月太り」。「年末年始太り」と言われることもあります。
飲食を伴うイベントの回数の増加・・・
年末の解放感からの暴飲暴食・・・
お酒を飲むことでのさらなる食欲増進・・・
ごちそう(油分、肉多め)・・・
おせち料理(塩分、糖分多め)・・・
長時間こたつや椅子から動かないことでの運動不足・・・
そして、特にお腹が空いてもいないのについ手が伸びて目の前にあるものを食べてしまうループ・・・
年末年始ならではの堕落であり幸福でもあるこの期間がまた訪れます。
いったいどのくらいの人がこの時期に体重が増加しているのか?はよく様々な機関でインターネット調査などがされ、レポートもでていますが、様々なレポートを見漁ってみると、平均的には7割程度の人が正月太りをし、年末年始の期間に1〜3kgの体重増加する方が多いようでした。
体重は、「消費するエネルギー」よりも「食事から摂取するエネルギー」のほうが多い状態が続くことで増加するので、年末年始の生活から想像すると太るのはあたりまえですね!
年末年始に全く体重が増えないことはさすがに無理だとしても、その後のことを考えてなるべく増量を抑えたい!太っても早くもとに戻したい!という方は多いはずです。
筆者は、今年の年末年始は「1kgの増量」に抑えたいと思っています!(ゼロではない)
さて、体重のコントロールにはやはり「食事」と「運動」がポイントになるわけですが、この2つについて、腸内環境を活用して無理なく体重を抑えられるかもしれないコツを一緒にみていきましょう。
やっぱり、「短鎖脂肪酸」
onakademyをよくご覧いただいている読者の皆様、短鎖脂肪酸のことはもう知ってるよ!という状態になってくださっていたらとても嬉しいです。
短鎖脂肪酸は、腸内細菌が食物繊維やオリゴ糖をエサとして食べた際に産生する代謝物質の代表的なもので、短鎖脂肪酸が産生されやすい食生活をすることで、体調維持や健康のベースアップが期待されます。短鎖脂肪酸に肥満を抑制する機能が期待されているのもその1つ。
短鎖脂肪酸は肥満の方では少ない傾向にあると言われています[1]。
また、短鎖脂肪酸を増やす食物繊維などを摂取することで肥満が抑制されることから、短鎖脂肪酸は肥満を抑制してくれると報告されています[2-3]。
実際に米国で実施された研究では、441名の対象者を短鎖脂肪酸の一種である酪酸の量が多い・中くらい・少ないグループに分けて見たところ、酪酸の少ないグループでは多いグループと比べて肥満リスクが1.95倍、内臓肥満リスクが1.54倍高いなども報告されています[4]。
短鎖脂肪酸で肥満抑制が期待される理由としては、以下があげられます。
・短鎖脂肪酸が食欲を抑制する効果があること[5-6]
・脂肪の燃焼を促進すること[6]
・脂肪の蓄積を抑えてくれること[7]
詳しいメカニズムまで知りたい方はこちらの記事をご参照ください。
年末年始の食事で短鎖脂肪酸生活をするには
腸内細菌に短鎖脂肪酸をつくってもらうには、食物繊維やオリゴ糖の摂取が重要になりますが、年末年始に意識できるコツはあるのでしょうか。
実はおせち料理の中にも食物繊維が豊富に含まれているメニューが沢山あります。
黒豆、たたきごぼう、昆布巻き、筑前煮(きのこ、里芋など)、栗やさつまいものきんとん、なます(大根、にんじん)などの定番メニューにも含まれています。これらの野菜類を意識的にとれるといいですね。
おせち料理を一からつくるというのは大変ですが、煮物類など、大量につくって消費されやすいメニューをもしつくるとしたら、味付けには砂糖のかわりにオリゴ糖の割合を増やしてみるのもいいですね。おせち料理の糖分が気になっている方にも助かるアイテムの1つです。
お雑煮は地域により特色がでる料理ですが、にんじんやほうれん草、きのこ、山菜などをトッピングすることで、見た目にも腸内細菌にも嬉しくなりそうです。
また、最近では玄米もちなども市販されているようですので、おもち食べ過ぎの懸念がある方は、腸内細菌のためだと思って試してみてもいいかもしれませんね。
というように、短鎖脂肪酸の素になる食事は年末年始の食事でも取り入れることができそうですので、新年から腸内細菌にもしっかり食事を届け、腸内細菌にも自分にもいいことをしている!という自己肯定感を年始からアップさせていきたいです。
では、運動は?
体重管理のためのもう一つのポイントは、運動ですが、運動するタイミングと腸内フローラが関係しているという研究報告がありましたのでご紹介します。
マウスの試験結果ではありますが、
「朝よりも夕方の運動量の増加が腸内フローラに影響する」という報告があります[8]。
この論文では、マウスの運動と摂食タイミングが腸内環境に及ぼす影響について、腸内フローラのバランス、便の中に含まれる短鎖脂肪酸の濃度、盲腸の内容物のpHに着目して分析されています。
結果として、朝よりも夕方に運動した方が、マウスの腸内フローラの顕著な変化や、便中の短鎖脂肪酸の増加、盲腸内容物のpHの低下が認められました。
また興味深いことに、夕方に運動した群の体重は減少傾向にあったものの、朝に運動した群では増加する傾向も認められました。
年末年始は通常の生活リズムから離れ、日常で規則的に運動している方でもなかなか時間をとることが難しいかもしれません。そんな中、運動のタイミングで効果に影響がでるとしたらありがたいですね。まだまだ今後のヒト臨床試験の結果が待たれるトピックではありますが、筆者も試しに実践してみたいと思います。
それでは、みなさんの年末年始の生活が腸内細菌にとっても喜ばしくなりますように!
参考文献
[1] Ecklu-Mensah, G. et al. 2023, Nat. Commun. 14(1):5160.
[2] Chamber, ES, et al. 2015, Gut, 64(11):1744.
[3] Dewulf, EM. et al. 2014, Gut, 62(8):1112.
[4] Cuesta-Zuluaga, J. et al. 2018, Nutrients, 11(1):51.
[5]Chambers, ES. Morrison, DJ. & Frost, G. 2015, Proc. Nutr. Soc.74(3):328.
[6] Cox, TO. et al. 2022, Genome Med. 14(1):80.
[7] Kimura, I. et al. 2013, Nat. Commun. 4:1829.
[8] Sasaki et al., 2022, Biochim. Biophys. Acta - Mol. Basis Dis.