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寝ても腸内細菌の機能は戻らない!?徹夜の本当の怖さとは

こんにちは!onakademy編集部です!

みなさん、昨日はよく眠れましたか?
私はこれまであまり睡眠にペインを感じたことがなかったため、Y1000(ヤクルト1000)の大ヒットを見て、みんなこんなに睡に問題を抱えているのか......!!と驚いたのですが、実は少し前、数ヶ月間に渡って睡眠障害を経験したことで、眠れない・眠りの質が悪いってこんなに辛いんだということがわかりました。

また、はっきりした原因や対処法がわからない、でも薬には頼りたくないという気持ちから、誰かが「体感がある」と言った商品があれば試したいと思う気持ちもよくわかりました。

相手の立場に立って、相手の気持ちに寄り添うことを心がけていても、やっぱり自分が経験しないと本当の意味で理解はできないものですね。。
健康でいることは大事ですが、ヘルスケアに携わる者としてはこれも大切な学びです。

一方で、日本人の睡眠時間の短さは世界的にもワースト1位、2位を争うレベル[1]で、睡眠の質が悪いと感じながらも睡眠時間は短いというところに日本人らしさや日本で求められる商品・サービスのあり方の一端が現れている気がします。


日本人の睡眠時間は先進国のなかでも最低レベル・・
([1]のデータを元に作成)

私自身、比較的短時間の睡眠で満足できてしまうタイプなので人のことは言えないですし、睡眠時間の長さと質は別物ですが、“回復力”は今後も大きなテーマになりそうです。

さて、前置きが長くなりましたが、今回は徹夜が腸内フローラに与える影響について調べた論文[2]を1つピックアップして紹介したいと思います。


徹夜が腸内環境に与える影響

論文タイトル:Alterations of the Gut Microbiota in Response to Total Sleep Deprivation and Recovery Sleep in Rats(ラットにおける徹夜と回復睡眠に対する腸内細菌叢の変化)
この研究でわかったことをすごーくざっくりまとめると、下記の表の通りです。

・一時的な睡眠不足や24時間の徹夜では腸内フローラの組成や短鎖脂肪酸量に変化はなかった
・48時間の徹夜(二徹)では短鎖脂肪酸を作ってくれる菌の減少や疾患を引き起こすことのある菌の増加が見られたが、1週間の回復睡眠で元に戻った

という結果を見て少しほっとしたのですが、一方で

・腸内フローラの機能の変化は睡眠を阻害してから24時間以内に生じていて、1週間の回復睡眠でも完全には元に戻らなかった
・具体的には代謝に関わる機能が低下していて、徹夜が肥満につながると考えられた

という結果が出ていて、怖ー!!となりました。

睡眠不足だと食欲を抑えるホルモン(レプチン)の分泌が減少し、食欲を高めるホルモン(グレリン)の分泌が亢進して食欲が増大する[3]こともわかっているため、代謝のポテンシャルが下がる(し、1週間経っても戻らない)上に食欲が増すというダブルパンチは結構恐ろしいですね。
何より、元に戻らないというのがつらい。。

上記の表にまとめた内容はあくまで今回取り上げた論文でわかったことですが、他の論文では24時間の徹夜でも腸内フローラの多様性が1週間の回復睡眠でもとに戻らなかったり、徹夜だけでなく7日間3時間睡眠を続けることでも酪酸濃度がもとに戻らなかったりといった報告[4]もあります。
そのため、腸内環境に変化を及ぼす睡眠時間のラインや後戻りできなくなってしまうラインなどについてはまだまだ議論もありそうですが、睡眠不足が腸内環境にも悪影響を及ぼすことは科学的にも明らかになってきているようです。

とは言え、仕事が理由であれ遊びが理由であれ、好んで睡眠不足になっているわけではなく、結果的に睡眠不足になってしまっていることが大半かと思うので、今後は機能遺伝子の発現を復活させる方法や発現の低下を防ぐ方法についても研究が進められることを切に願います!!

年末年始は忘年会に年越し、新年会と睡眠不足になりがちなイベントが目白押しですが、いつも以上にプレバイオティクスやプロバイオティクスなどを活用して腸をケアし、元気に冬を乗り越えましょう!

参考文献

[1] Organisation for Economic Co-operation and Development (OECD). Gender data portal 2021 Time use across the world
[2] Wang et al. Alterations of the Gut Microbiota in Response to Total Sleep Deprivation and Recovery Sleep in Rats. Nat Sci Sleep. 14, 121-133 (2022)
[3] e-ヘルスネット 睡眠と生活習慣病との深い関係
[4] Ting Gao et al. Butyrate Ameliorates Insufficient Sleep-Induced Intestinal Mucosal Damage in Humans and Mice. Microbiology Spectrum. 11(1), (2023)

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