見出し画像

プロバイオティクスとプレバイオティクスの違いとは?

こんにちは、onakademy編集部です。みなさん、連休はいかがお過ごしでしたか。私は、休みの間に一度食生活を見直そうと決心し、毎日ボウルいっぱいのサラダを食べるようにしたところ、かなり便の状態が改善しました。腸内細菌は裏切らない、ということを深く実感したGWでした。

さて、少し余談が過ぎましたが、今回は腸内環境との絡みで語られることの多い「プロバイオティクス」と「プレバイオティクス」についてお伝えできればと思います。

この2つの単語の違い、みなさん、分かりますか・・?

「一文字違いだし、横文字だし、自信がない。。」という方も多くいるかと思います。

具体例なども交えてご紹介していきましょう。


プロバイオティクスは有益な生きた”菌”を指す

そもそも”biotics”(バイオティクス)とは「生物に関わる、あるいは生物から生じる*」、という意味として辞書にも登録されている言葉です*。そこから派生していくつか言葉が生まれていますが、その中の一つにプロバイオティクスがあります。

* 原文:”relating to or resulting from living organisms”

プロバイオティクスとは、単語帳にも記載しているように、

「適切な量を投与した際に、宿主に健康上の利益をもたらす生きた微生物」と定義されています[1]。

つまり、「食べた・飲んだときに健康にいい、生きた微生物」のことですね。

プロバイオティクスは生きていて、活動できる状態の菌を腸内にいれるので、その菌がはたらくことで健康効果をもたらしてくれるわけです。
そのはたらきには代謝物質の産生、病原菌の定着の抑制、免疫細胞の刺激などが挙げられます。

一方で、プロバイオティクスは摂取をやめてしまうと腸内に定着せずに排泄されてしまうことも知られています。例えば、ヨーグルトを摂取するのをやめてしまうと、プロバイオティクスであるビフィズス菌や乳酸菌が数日から数週のうちに腸内から居なくなってしまうのは複数の研究で報告されています[2][3]。

自分の腸内は長年の自分の食習慣や生活習慣に適応した「エリート菌」が定着しているため、新たに入ってきた「一見さん」は環境に適応できずに生存競争に負けてしまうのです。そのため、プロバイオティクスからの健康効果を受け続けたければ、継続的に摂取する必要があります。

なお、ある商品をプロバイオティクスと呼称してよいかどうかは、満たすべき明確な基準があります(詳しくは単語帳の記事をご参照ください)。

これまでプロバイオティクスとしてサプリメント等で有用されてきたものにはLactobacillus、Bifidobacterium、Lactococcusなどがあり、ヨーグルトや乳酸菌飲料などにはこれらの菌の一種あるいは数種の組み合わせが含まれています。

プレバイオティクスは”腸内細菌のエサ”となる食品素材

一方で、プレバイオティクスは菌ではなく、腸内に既に生息している菌を増やす・代謝を活性化させることで健康効果をもたらす菌のエサとなる食品素材を指します。

プレバイオティクスには難消化性の水溶性食物繊維やオリゴ糖などが含まれます。これらの素材は腸内細菌のエサとなり、代謝物質(主に短鎖脂肪酸)の産生を介して健康効果をもたらしてくれます。

菌にはエサの好き嫌いがあり、すべてのプレバイオティクスがすべての菌によって有効活用されるわけではありません。たとえば、プレバイオティクスの一種であるレジスタントスターチを食べさせても、お腹にいる腸内細菌のバランスの違いにより異なる健康効果が得られることがわかっています[5]。

プレバイオティクスの代表的なものとしてはイヌリンやグアガム、フラクトオリゴ糖などが知られています。水溶性食物繊維の一覧はこちらの記事にも記載してあるので、気になる方は覗いてみてください。

覚え方の一例

プロバイオティクスとプレバイオティクスの違いはここまで説明してきたとおりですが、やはり見慣れない言葉なので覚えにくいですよね。
私もこの業界に入る前まではほぼ聞いたことない言葉でしたし、最初のうちは区別するのに苦労しました。

ただ、今の仕事をしていくうえで間違えることは許されません。
私が仕事上勉強していく中で、双方を区別するために有効だった覚え方をご紹介します(あくまでも覚え方の一例なので、向き不向きがあるかと思います)。

プレバイオティクスの「プレ-」は「前の」や「事前の」という意味を持つ接頭語(pre- )です。

他にこの接頭語を持つ単語としては「プレオープン:pre-opening」「プリペイド:prepaid」「プレビュー:preview」などがありますね。このあたりは聞き覚えがあるのではないでしょうか。

食物繊維やオリゴ糖は菌のエサになり、そこから代謝物質が作られますから、プレバイオティクスは宿主の健康という観点からすると菌よりも前にくる概念になります。

どちらが前に来るのか、という見方で覚えると良いのではないでしょうか。
もっと良い覚え方があったよ!という方はぜひコメントで教えて下さい。

* onakademy編集部からのお願い *

今後も、腸内環境の重要性や腸内環境の可能性を最大化していくヒントなど、皆さんに有益な情報をできるだけわかり易く配信していきます。
いいなと思ったらスキやオススメをお願いします!また、コメント欄で記事の感想も教えて下さい!
さらにさらに、更新通知をONにすると最新記事が出た際に皆さんのお手元に届きやすくなります。ぜひ通知のONをよろしくお願いします!

参考文献

参考文献
[1] Hill, C. et al. Nat. Rev. Gastroenterol. Hepatol. 11(8), 506 (2014). 
[2] Bouhnik, Y. et al. Gastroenterology 102(3),  875-878 (1992). 
[3] Alvarez, AS. et al. Scientific Reports 10(1), 15974 (2020).
[4] 福田真嗣編.改訂版もっとわかる腸内細菌叢 “もう一つの臓器”を知り、健康・疾患を制御する!. 羊土社. p.129.2019
[5] Deehan, E. et al., Cell Host Microbe 27(3), 389-404 (2020).


今週も最後までお読みいただきありがとうございます!記事は毎週月曜日更新。次回の記事もお楽しみに!