酪酸

短鎖脂肪酸の一種で、Faecalibacterium属などの菌によって産生されます。乳酸やコハク酸などが腸内細菌によって産生された後、それらがさらに腸内細菌によって代謝されることで酪酸が産生されることがわかっています[1]。

酪酸は耐糖能改善[2]、肥満抑制[3]、免疫機能の向上[4]など様々な健康効果をもたらすことが知られています。また酪酸に特異的な健康効果として、特に腸管上皮細胞のエネルギーとなり、腸管バリアの強度を高めること[5]が知られているほか、制御性T細胞という炎症やアレルギーなどを抑える免疫細胞を増やす働きがあることも明らかになっています[6]。

なお、酪酸はおならの臭いの原因物質の一つで、非常に強い腐敗臭を発します。そのため、経口での摂取は非常に難しく、酪酸そのものを含むサプリメントなどは非常に限定的です。また、前述の通り腸管上皮細胞への作用が重要であることから、腸内細菌が「腸管」で産生することが非常に重要な物質であるとも考えられています。

参考文献

[1] Louis and Flint. 2017. Environ Microbiol. 19(1):29-41
[2] De Vadder et al., 2014, Cell. 156(1-2): 84-96.
[3] Shimizu et al., 2019, Sci Rep, 9(1):16574. 
[4] Chen et al., 2020, Nat Rev Immunol, 20(7):427-441.
[5] Roediger. 1982. Gastroenterology. 83(2):424-429
[6] Furusawa et al., 2013.Nature. 504:446–450


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