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【質問回答】食材が形を残したまますぐ出る人も、普通に食物繊維を摂って大丈夫?

こんにちは!onakademy編集部です。

先日、みなさんからのギモンを集めるために目安箱を設置しましたが、早速いくつかご質問をいただきました。

今回は、その中の1つにお答えします。

質問
体質が軟便で1日1~3回排泄するのですが、繊維質な食材やサラダ、雑穀を食べるとすぐに且つ形を残して出てくるので、繊維を摂っていいのか不安になります。このような体質の人も通常の食物繊維の摂り方をして良いのでしょうか?

軟便で排泄が頻回であり、食材が形を残して出てくるとのこと。
消化が十分に行われていない可能性が考えられます。普段の食事では胃腸に負担の少ない消化に良いものを意識して選ぶようにしてください。

食物繊維の選び方摂り方について回答しますね。

■ 食物繊維の選び方
食物繊維を摂取するヒト試験ではポジティブな報告が多く認められる一方で、極端な例を引用してしまいますが、大腸炎のマウスに高発酵性食物繊維を与えると症状を悪化させる報告[1]もあります。

・食物繊維の機能性表示に注目
実は食物繊維はそれぞれ性質が異なります。例えばイヌリンは「便秘傾向者において排便回数・排便量を増やす」[2]ことから、今回の相談者さんのように頻回・軟便の方には適しません。
どちらかと言えば「やや軟らかめの便を改善しておなかの調子を整える」[3]グアーガム加水分解物(PHGG)が適していると考えられます。


■ 食物繊維の摂り方
ここからは個人的な体験に基づくので私見が多く、また長くなるのでご注意ください。最後まで読んでもらえた方にはチート情報がありますよ。



■ 発酵のための腸内環境づくりが鍵?

日常から食物繊維を多く摂っている人の腸内環境ではプレバイオティクスを発酵しやすい[4]ことから推測するに、これは私見になりますが「発酵のための腸内環境づくり」というプロセスがあるように感じています。

そう感じるには理由があります。まずはグラフをご覧ください。

これは私が趣味でつけている排便記録の一部を抜粋したものです。1ヶ月間の便の形状をアプリ(ウンログ[5])で記録し、縦軸に排便回数、横軸に月をとり、それぞれ別の色で形状の内訳を示しました。「ぶりぶり」などはウンログアプリ内での呼称をそのまま用いています。       アプリ内のカレンダーからひとつづつ手で数えて抽出しました。
csv書き出し機能があれば嬉しい。。。

私はもともと、相談者さんのように頻回、軟便、食材が形を残して出てくる傾向にありました。頻回・軟便の場合には消化管滞在時間が短く、水分の吸収が不十分であったり、食物繊維を多く含む食品の消化発酵も不十分なのは便の見た目からもうかがえます。グラフはだいぶ回数が落ち着いてきた頃の話です。

・排便状況から腸内環境コンディションを読み解く

まずは7月に注目します。
排便回数13回の内訳は5種類すべての形状が出ています。詳しく言うと、2日に1回便意をもよおし、トイレに座るとどれかがランダムに登場する状態で排便を全くコントロールできていません。相談者さんのように、便に食材を認めることもしばしばどころかしょっちゅうありました。

8月にイヌリンを試したところ、便の回数は増えたものの性状は回復せず、おならも増え、不快なので摂取をやめました。イヌリンは「便秘傾向者のお通じを改善する」ことがヘルスクレームなので私には合っていなかったと思われます。

9月の後半に「やや軟らかめの便を改善しておなかの調子を整える機能」を謳うグアーガム加水分解物(PHGG)を摂取しましたが、おしい感じ。少しまとまりは良くなったように見えたのですが、正直に言えばイヌリン同様おならが増えたのと「スッキリ感」がイマイチでした。

イヌリンの影響とPHGGの影響が混ざるのが嫌だったので、イヌリン期間後の9月前半には
プレバイオティクスを何も摂らない期間を2週間以上設けました。  
これを「ウォッシュアウト期間」と呼びます

11月より、食生活を本格的に見直しました。おなかを下しそうなメニューを徹底して避け、たくさんの野菜をよく煮込んで摂るようにしました。グラフを見返すと、軟便頻度が低下し便がまとまってきているのがわかります。

白米とでっかい味噌汁を基本に、適宜魚や肉の副菜を追加します。1食で食物繊維を約5~6g摂れる計算です。一汁一菜を体現する沖縄の味噌汁定食をリスペクトしています。

便のまとまり(ぶりぶり・ほそほそ)の頻度は増加したのですが、回数が伸びません。


・怒涛のPHGGドーピングで「ぶりぶり」が爆増

1, 2月には回数が頭打ちになってしまいました。そこで、あらためてPHGGを追加してみることにしました。

見返して、自分でもちょっとひくほどPHGGとっています。

すると、7月, 9月と比べて「ぶりぶり」が爆発的に増えました!

便のまとまりがよく、回数も一気に伸びています。1日約1回、コンスタントに良い形の便を出すためのコンディションを獲得することができました。

ここまでの経緯を1枚にまとめてみました。3~5月に時々「ふわふわ・どろどろ」があるのは、あまりに調子が良すぎて週末に焼き肉に行ってしまい脂の影響で少し崩れてしまったためです。   でももし7月に同じことをするとその後数日間は「びちびち」どころかシャーシャーの時もありました。3月以降、確実におなかが強くなっています。


■ 「発酵のための腸内環境づくり」とは?

「発酵のための腸内環境づくり」があるのではないか?と冒頭で述べたのを覚えているでしょうか。

9月後半のPHGG摂取ではまだ「発酵のための腸内環境」ができていなかったためうんこの回数の伸びが鈍く、食習慣を改善することで「発酵のための腸内環境」が整い、3月以降PHGG摂取による伸びにつながったのではないか?と考えています。

もしかすると10月以降もPHGGを継続していればよい結果につながったのかもしれませんが、この図には示せない「スッキリ感」が9月後半にはほとんどありませんでした。

これでは継続するモチベーションとして弱いですし、何より3月以降では明確な「スッキリ感」を得ています。

・ 「発酵のための腸内環境づくり」の王道は食物繊維の継続摂取

厚生労働省の新基準では、成人1日あたり25グラムの食物繊維摂取が推奨されています[6]。

写真の味噌汁は1食で食物繊維を約5~6グラム摂れるよう設計しました。
 
これを1日に3食(6グラム x3 = 18グラム)
 PHGGを1日6グラム足してようやく24グラム

ふぅ〜っ 25グラム到達もなかなか大変ですね。

■ まとめ

・排便状況を整理し、あせらずじっくり

まずはご自身の排便状況を見つめて整理し、機能性表示に従い適した食物繊維を選んで頂くこと、また、もしかすると「発酵のための腸内環境づくり」が必要かもしれません。

長期的な取り組みになりますので、あまり焦らず気長に取り組んでみてください。

・医師にも相談してみよう

医師に消化不良を相談するのもよいと思います。消化酵素とビフィズス菌を処方される場合が多く、実際それで便性状がまとまる人もいるようです。

私は酵素とビフィズス菌の処方の効きがイマイチだったので、まずは食物繊維量の確保を基本と考えて取り組みました。

■ 準備期間なし! 立派な便を出す方法!

「いきなりいいうんこを出してみたい」そんなひとは、
便をまとめる効果のある食物繊維「サイリウム(オオバコ種皮パウダー)」を試してみて下さい。

「(よく発酵しているかはわからないが)見た目は立派な便」が出ます。

サイリウムは腸内細菌による代謝発酵というよりも水を含んでゲル状となり便をまとめる性質[7]があり、過敏性腸症候群の炎症軽減作用も報告されています[8]。便秘の人ではおなかが張り苦しくなってしまい合わないこともありますが、相談者さんのような方には良いかもしれません。

私も「ちょっとおなかの調子崩れそうな感じするな〜」という時のためにストックしてあります。でも一過性ですからね、発酵に関する報告も少なく資化されているのか疑問です。また、ストッパ[9]のような即時性の特効薬ではありません。
サイリウムは普段使いできるおしりの絆創膏みたいなものです。

ここまで長々と私の例を紹介しましたが、実際私もまだまだ途上です。これから先、長期的な取り組みになりますので、経済的・精神的に無理のない範囲でできる野菜や根菜の組み合わせを推奨しています。

疑問・質問・相談は目安箱からこっそり投稿してください。
こっそりね。
大丈夫、全部読んでますよ。

うんこ博士やべーな!
という気持ちを”スキ”で示してもらえたらありがたいです。

(いとうまさき)


参考文献

[1] Miles JP. et al. Supplementation of low-and high-fat diets with fermentable fiber exacerbates severity of DSS-induced acute colitis. Inflamm Bowel Dis. 23:1133–43 (2017).
[2] 発酵するナチュラルイヌリン, 機能性表示届出内容
[3] サンファイバーEXa, 機能性表示届出内容
[4] Healey G. et al. Habitual dietary fibre intake influences gut microbiota response to an inulin-type fructan prebiotic: a randomised, double-blind, placebo-controlled, cross-over, human intervention study. Br. J. Nutr. 119, 176-189 (2018).
[5] うんログ - No.1観便&腸活サポートアプリ
[6] 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書, 炭水化物, p.134(厚生労働省)
[7] A J Eherer. et al. Effect of psyllium, calcium polycarbophil, and wheat bran on secretory diarrhea induced by phenolphthalein. Gastroenterology. 104(4), 1007-12 (1993).
[8] Garg P. et al. Psyllium Husk Positively Alters Gut Microbiota, Decreases Inflammation, and Has Bowel-Regulatory Action, Paving the Way for Physiologic Management of Irritable Bowel Syndrome. Gastroenterology. 166(3):545-546 (2024).
[9] ストッパ下痢止めEx, ライオン

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